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2004年07月27日

後藤武

後藤武×小林聖明(flat)
そもそもモンタージュって?

小林聖明(以下、K):
まず、僕自身、モンタージュという言葉は知ってても、漠然としていて、
単純にモンタージュとコラージュの違いがよくわからなかったんですよ。
エイゼンシュタインの映画の事例を聞いて、あ、そういうことかと分かったんですけど、
そもそもモンタージュとコラージュという言葉が今は普通に使われてて、
結構違いが曖昧だったりするかな、と思うのですが。

後藤武(以下、G):
曖昧ですよね。
なおかつ、そもそもの意味でいうと、
コラージュって言うのはパピエ・コレ(paipier colle)って言って、
“貼る”っていうことで、キャンパスの上に簾のテクスチャーとかを貼った、ってことだったり、
その“貼る”って言うことがコラージュの始まりなんですよね。
モンタージュはそれに対し、貼るっていうことがメインでなくて“つなぎあわせる”ってことであって、
そこの違いくらいであって、もともとは。例えばコーリン・ロウのコラージュ・シティってときの場合の
コラージュって言うのは、純粋にピカソが紙を貼ったってこと以上の意味を込めて使っているわけで。
多少、それぞれの人が概念を細工しているんですよね。
コラージュはあくまで絵画のキュビズムの概念だけれども、
それを使いながらより、展開できるような概念に細工して仕立て上げているんですよ。
そこがあるから、コラージュってこうだっていうのがいいにくくなっている訳ですよね。
コーリン・ロウの場合はその辺をわざとはっきり分からないように、
はっきり分からないからこそそれをやってて面白い、展開可能性があるとか、
いろんな人がそれぞれ解釈して使える道具にしようとかそういう意味があるんで、
コラージュ・シティといっても良く分からないんですよ。
正直言って、でも良く分からないところが面白いんですよ。
これってこういうことかなとか考えていくことで思考が拡がっていくんですよ。
そういうところがあの理論書の応用可能性だと思うんですよ。
なんか、こうだって分かったものは道具にならないですよね。理解で留まっちゃって。
だから、僕も別にモンタージュっていうのも建築におけるモンタージュはこうであるっていうことに、
はっきりということに意味はないかな、
なんとなく、そういう風にやっていくことで面白いデザインができたり、
多様な経験がつくれるようなことであれば、と思って名前をつけている感じなんですね。
でも、名前を付けないとよくわからない、モンタージュっていった時点で、
あるやり方として浮かび上がってくる。でも輪郭線は明瞭ではないですね。

■ 経験とその発見
K:
何かを発見するときというのは、自分がいつも経験していないことをみようとすることよりも、
自分が経験してきたことを振り返って気付くことの方が多いですよね。
G:
そうですね。これはプロダクト・デザイナーの深澤直人さんと話していたことなんだけど、
身体は知っているけど頭は知らなかったことを頭が気付くのがデザインでは大事だということを彼は話していて、つまり、経験としては細胞は知っている、だけど頭は気付いていない。そこで、なんだ、これじゃんって、すでに身の周りにあるんだけど、気付いていなかったことに気付かなかったんだろうって、これじゃないかなって。
K:
よくあるのは、何か今までのものではなくて新しいものをつくりだすっていったときに、僕たちは自分が今までに経験していないものをいかに経験するか、いかに、自分の身体を拡張させていくかみたいなことを考えますが、経験っていうのは自分の身体を通してでしか可能でなくて、っ自分の皮膚っていうものは極端に伸びたり、縮んだりするわけではないので、やはりその辺の限界はありますよね。
G:
ま、人間の身体という物理的な存在に制約されているから、そんなに大きく変わりえないし、
一時期60年代のアーキグラムとかっていうのは、ある種まったく人間の身体は代わってしまうな、っていうのはあったけど、でもあいかわらず、重力に支配されてて、自分の皮膚は拡張はしないし、高性能になるとかなくて、すぐ風邪をひいたりするし、ちょっと寒くなればそれを感じるし、建築のすごい根本的な条件に反応して、で、そういった皮膚感覚や身体感覚をはずして建築を考えてもあまり面白くないですよね。
K:
なんかこう、ぱっと見てビジュアルだけとか、映像的なものは頭ではそう感じていても、
こう身体まで落とし込めないというか…、そういうことは往々にしてあると思います。
G:
そういう意味では、僕なんかはやっぱり身体でぐっと来るような、なおかつ、それがこう、見方とか位置とかによって、いろんな可能性をもってて飽きないというか、そういうものを目指したいですね。

…とまぁ、ここまできましたが、今回はインタビューはこのあと加速し、異例の実りあるロング・インタビューに!
キーワードは…『モンタージュは幽霊である』





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