阿部仁史
「二つのボディ」

7月14日、archi_lecture special issue vol.2 阿部仁史さんレクチャーを、今回は特別に別会場である東桜会館で行いました。いつもの雑然とした雰囲気の中で行われてきたものとはまた一味違った雰囲気の中でのレクチャーもなかなか好評で、最新のプロジェクトの紹介では未発表のものもあり、かなりお得でした!
やはりなんといっても今回のタイトルにある「二つのボディ」という思考についてのロジックの組み立ては半端じゃない。「オブジェクト」と「アクティビティ」から派生してくる建築的な問題を身体性で接続できるのではないかという思考の下、苓北町コミュニティーホールからドメスティックリノベーションのワークショップまで、実際に内側からアクティビストとして、環境の一部として環境に入っていく立場と、外側からの環境を作っていくという立場によって建築への関わり方が「人を巻き込んでいく」という「現象」を扱っていることがとても興味深い内容であったと思います。
レクチャー終了後のXebecでの懇親会は、阿部氏の持ち前のトークに翻弄され、cafeなのに居酒屋のような雰囲気のまま深夜までにぎやかに続いたのでした。
「シャボン玉のようなものを意識して創りたい。シャボン玉のことを考えてみると、これ自身特定の形を持っているものではなく、内側と外側の大気のバランスの中でそれぞれの風の流れなど、ものの状態を映し出しながらそれそのもので境界を形成する。建築もそのようなものと思っていて、建築という境界が内側と外側の関係をうまく調停しながら、規定してあげて、同時にお互いを仕切るのではなく、交流させるひとつの接面として機能するようなものであってほしい。
あまりカタイ境界でなく、流動的で多様な社会を映し出すヤワラカイ境界でなんとなく周りの人がいろんな読み取りができて、そして関わっていけるような建築を作りたいんだというのが根底にある。
外側から環境、ものを作るという立場と内側からアクティビスト、つまり環境の一部として入っていくことで場を作るという立場はぜんぜん違うスタンスでありながら、一見ハードに見える環境の中にわれわれが入っていくことで蕩けさせるという関わり方もあるのではないか。
スペック(機能)の集積であるプログラムで計画していくのではなく、いろいろなアクティビティを受け止める情緒性や力強さを環境に与えていくことが大事である。」