
Archi_lecture初女性建築家のレクチャーは特別なものではなかったが、
何か新鮮な空気が流れていたように思われる。
乾久美子さんの建築へのカカワリかたというものがまず建築基準法からしてみれば
建築といえないものをやってきたというのが特徴としてあって、
その中で「建築じゃなくて建築的に面白いことができるはずだ」という信念が
台風並みの雨の中来場された多数の参加者には既に伝わっているかのように、
レクチャー開始以前からXebec全体を熱気が包み込んでいた。
それは普段本棚に置いてある雑誌が、全て取り払われて、
乾さんの6作品の画像がプリントされたA4版コクヨのキャンパスノートの1ページが10枚貼ってあり、
そして中央に置かれたキャンパスノート7冊が置かれているだけになっていて妙に殺風景であるが、
しかしいつものマッタリとしたカフェスペースに1つの芯が入ったようで、
なかなか面白い空間となっていた。
さて、今回のレクチャーは終始「作品解説」であった。
ただ乾さんの6作品を通して言える事は、
interiorと表層だけで建築的に思考する中でアウトプットしたものは
視覚的に訴えかけるものばかりだが、それが2Dと3Dとの間でせめぎあって
アウトプットしてきているのが凄くよかった。
実際に訪れて体験しないと強烈に印象付けられないであろうが、
錯視を効果的に使っているのは乾さんのスタイルと言ってよいのだろうか?
奥行きを消失させてグラフィカルに平面として立体を見せたり、
わずかな色の濃淡によって、空間体験としてあるいはブティックとして人に対してだけでなく、
モノや家具に対しても物理的な操作を超えて全て現象として立ち現れるような
繊細な効果までを確信犯としてやっていけるのは、
模型の段階で10分の1で実際に作ってみるというところまでシュミレーションしているという話で納得。
「全ての作品は連続していない。ただ傾向としてどういう風に見えるのか。
視覚的なトリック、盲点を付くようなことをしている。
やってること自体はシンプルで驚くようなことはしていないが、
今までにない論理でカタチ作っている。」という最後の言葉にはある種の若手建築家の戦略が
垣間見えた瞬間にあったように思う。